デスバレーの生きる石スケプトイド #21 |
もしあなたがアメリカ南西部のことをよく知っているか超常現象のファンなら、デスバレーにある乾燥した湖の底の表面を移動するレーストラック・プラヤと呼ばれる神秘的な石の話を聞いたことがあるだろう。何百もの石が数平方マイルの干潟の表面に散乱していて、それらの石が表面を移動した軌跡を残している。多くの研究がされたにもかかわらず、誰も石が動くところを見たことがない。わたしは他の誰よりも後少しのところで見ることができるはずだった。
提案されてる説明としては、自然現象、超自然現象、宇宙人に至るまで広い範囲に及んでいる。奇妙な磁力とか、心霊エネルギーとか、宇宙人の乗り物とか、子供のいたずらとか、超次元の渦さえも提案されている。有力な科学的仮説としては、まれに表面が滑りやすいほど充分に湿っていて他のすべての条件が整っている時に、それらの石は強い風によって動かされるというものだ。わたしはこの説明には納得できない。わたしは子供のころに干潟で遊んだことがあって、石はその表面にしっかりと固定されていて動かすにはかなりの力が必要なのだ。レーストラック・プラヤの石はあるていど流線型で、表面に固定された石を動かしてあれほどの深い溝の跡を残すほど強い風が吹くと想像するのは難しい。石を動かす実際の原因は、どうやら風ではなく複数のパンチであって、簡単に観測できる珍しくない条件を必要とするのだった。
2002 年の初春にわたしは友達二人ダン・ボセックとジョン・カントリーマンと共にレーストラック・プラヤを何度か訪れた。周りの山々はまだ雪に覆われ、乾燥した湖の底は固い状態で、それでも表面の5分の1は水で覆われていて、湖の端の水深は約1~2インチ(訳注:3から5センチ)の深さで、主に標高の低い南側に集中していた。われわれは危険を承知で日の出の少し前にカメラを持って出かけた。気温は零度を少し上回る程度だった。南からの風はかなり厳しくとても冷たかった。われわれが湖に着いた時に驚いたのは推定時速半マイル(訳注:時速約1キロ)ほどのスピートで湖全体が風に吹かれて動いていたことだ。湖に日が射すころにはいくつかのとても薄い氷が融け始めているのを見ることができた。この水の行進は多くの有名な石を通り過ぎて行った。もしわれわれが2時間ほど早く到着して数度気温が低くい状態だったら、表面全体が薄い氷だったはずだ。広い面積を覆う氷の慣性で湖の表面と共に動く固体の氷なら、滑りやすい泥の上にある石を押して動かすことは難しいことではないと簡単に想像できる。確実に風だけによる力よりははるかに大きな力になる。風は強く、ある程度風向きを変えることもあった。表面は完全に平らではなく石やその他の障害物があるので、水は真っすぐには流れず、右往左往しながら前進していた。水によって押された氷の板も同じように動くはずなので、多くの石の軌跡に見られる曲がった跡を説明できる。
わたしの言葉だけを信用しないように。われわれはカメラを持って行ったのでその出来事をビデオに収めてある。skeptoid.com に行って、videos をクリックすれば、“Living Stones of Death Valley”(訳注:デスバレーの生きる石)を見つけることができる。あなたの時間を2分間さいて見る価値は充分にある。
実際に石が動くところを誰も見たことがないということも簡単に信じることができる。レーストラック・プラヤの表面に水がある時は、そこは立ち入り禁止になるし、実際のところあなたはそこに行きたいとも思わないだろう。従って、氷の板が石を引きずっている時にはそこには誰もいないのである。
われわれが行った時期が2週間ほどずれていたので実際に石が動くところを見ることができずビデオに収めることもできなかった。誰かがそのうちすぐに見ることになるだろう。われわれは石の動きに関係するすべての力を見て記録に収めたので、われわれの説明は今までの仮説よりはかなりもっともらしいものだとわたしは思う。
参考
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