間違った科学でのビッグフットの否定

スケプトイド #11
2006 年 12 月 3 日

今日はジャイガントピテカス・アメリカナス“北米サスクワッチ”の暗黒の森の道を降りてみる。

ビッグフット論争の賛否両サイドが下手な議論や間違った科学や単に妙なことを前に出してそれぞれ自分のサイドが不利になるような主張をしている例をよく見かける。表題を探求して自分の主張を提示する知的で生産的な方法があるにもかかわらず、ビッグフット論争でそれが行われているのをあまり見かけない。自分を不利にしている各サイド上位3つの指摘をここに示すことにする。懐疑論者サイドから始める。

1.足跡をでっちあげたことを白状した人がいるということでビッグフットの存在を否定できると言うこと。

2002年に、ワシントン州の木こりレイ・ウォレスが亡くなった。1958年以来、彼がビッグフットの足跡を米国北西部太平洋岸のあちこちに付けるために使ったという削った木の足形を彼の家族が世間に明らかにした。新聞やテレビ番組がそれをまにうけてビッグフット現象はすべてウォレスによるいたずらだったことが証明されたと報道した。どうやらわたしが何十年も隠していたことを白状できる時がきたようだ。わたしが子供のころ、わたしも一度ニセのビッグフットの足跡をいくつか作ったことがあるのだ。もう逃げも隠れもしない。ビッグフットは偽物であったことがここで二重に証明された。

もちろん、研究方法の基本を理解している人なら誰でも、ビッグフットが偽物だという証明としてレイ・ウォレスの話を受け入れることはできない。彼は偽物の足跡を作った。彼以外の何千人もの人も同じことをしたのだ。彼らはレイ・ウォレスが生まれる前からやってたし、今でもまだやってるのである。誰にでもそんな足跡は作れるのである。誰にでも...

2.パターソン・ギムリンのフィルムは“史上最低の偽物”だと言うこと。

わたしはビッグフット信者ではないが、名誉を与える必要があるときは与える。パターソン・ギムリンのフィルムは本物の動物のようにわたしには見えた。ディスカバリー・チャンネルの再現の方はばかげて見えた。それはまったく本物の動物のようには見えなかったし、パターソン・ギムリンのフィルムに写っていたものの面影すらなかった。ディスカバリー・チャンネルのビッグフットの着ぐるみよりチューバッカの方がよっぽど本物に見えた。1967年のハリウッドのゴリラの着ぐるみの最高傑作と言えば猿の惑星とスタートレックの“ガリレオ・セブン”のエピソードだった。ゴリラの着ぐるみの経験の無い二人の木こりが現在の最高傑作より優れていてる着ぐるみを作ったのだ。1967年の最高傑作よりも間違いなく何光年も先に進んだできだった。わたしはフィルムが本物だったと言っているわけではない。名誉を与える必要があるときには名誉を与えなさいと言っているだけだ。そしてそれが偽物だとしたら、驚くべき傑作であることを認めなさいと言っているのである。もしわたしに同意しないなら、わたしがしたように、安定化バージョンをフレームごとに見てみなさい。

それ以来6人ほどのハリウッド特殊効果美術師が自分がパターソン・ギムリンのビッグフットの着ぐるみを作ったと“名乗り出た”。さらに12人ほどが自分がその着ぐるみを着ていたと“名乗り出た”。それはフィルムに対する証拠に過ぎないし、レイ・ウォレスの木の足も本物のビッグフットの足跡が存在しないという証拠にはならないのである。

そのフィルムの批判として、写っている生き物の行動が本物っぽくないというものもある。わたしには本物のビッグフットの行動に関して何の知識もないが、熊に出くわしたことは数回ある。熊はまさにパターソン・ギムリンのフィルムに出てくる生き物のように、一二回振り向いただけで無関心にただ歩き去っただけだった。

3.ジェフ・メルドラムのような善良な科学者を批判すること。

アイダホ州立大学のジェフ・メルドラム博士に関する新旧の批判を読んだことがある。わたしは一つの例として彼の名前を挙げている。ビッグフットの研究をした有名大学の顕著な終身教授が他にも何人かいる。心霊術や超常現象の研究をした教授ははるかに多いはずだが、それはここでは触れないことにする。

メルドラム博士は毎日24時間ビッグフットに熱中して生活していて彼の生徒を信者にしようと熱心に勧めるような人ではない。逆に、ビッグフットとは何の関係もない多くの著書があり、ビッグフットとは何の関係もない6つの講座を教えて、解剖学と人類学の准教授で、人類学部と作業/理学療法学部の助教授で、アイダホ自然史博物館の提携学芸職員である。彼はビッグフット教授ではない。彼は他の教授と同様にビッグフットとは関係ない多くの学問的な仕事をしている。彼は仕事をこなしている本物の科学者である。その上で、彼はビッグフットの足跡の鋳型の研究をしているのだ。

メルドラム博士には彼が選んだビッグフット研究の資金として個人から寄付される彼自身への助成金を積極的に集める責任がある。場合によっては、大学からも小額の資金を受け取っている。もしあなたがこれが無駄な経費だと感じるなら、その資金を出す決心をした大学の理事を批判しなさい。その資金を受けた人を批判するべきではない。メルドラム博士のような責任感のある科学者の業績こそ本来の懐疑論者ならビッグフット議論に取り込むべきで、彼の業績に関して彼を批判するべきではない。

責任感のある懐疑論者がビッグフットの主張を扱う方法をここに挙げる。“あなたは途方もない主張をしている。途方もない証拠を見せなさい。そしたらわたしは信じます。それまではわたしは納得しません。”と言いなさい。毛や便やチベットからの頭蓋骨の一部のような証拠らしいものが時々現れる。これらの証拠は適切にテストされていて、今のところ新種の巨大猿人は証明されていないのだ(もしわたしがこのことについて間違っているなら、ウェブサイト上でコメントを記入して欲しい)。責任感のある懐疑論者の義務として、証拠を探している人々を笑い者にしたり証拠がないことを証拠がないことの証明と考えたり、人々に対して個人的なコメントをしたりしてはいけない。それは善良な科学ではない。場合によっては、メルドラム博士や彼のような他の科学者の方が普通の懐疑論者よりましな懐疑論者でありうるのである。

さて、ここで自分に対して不利になるような下手な議論をするビッグフットを支持する人々に対して言いたいことを挙げる。ビッグフットを支持する間違った方法:

1.ビッグフットは地球外生物または他の次元から来ると主張すること。

もしビッグフットに関する主張が主流な科学に取り上げるとするなら、動物学を通してであって、超自然現象を通してではない。これはビッグフットに関する主張を暗黒時代に戻してしまう最も極端な非生産的な主張である。

2.妄想的になること:ぼやけた写真からそんなものは何も写ってないのにビッグフットの詳細を見てしまうこと。

半分ほどのビッグフット・ウェブサイトは茂みや森の一部を丸で囲んでいるいくつかの写真を載せている。その丸で囲まれた部分には影や暗い茂み以外は何もないのだ。おっ、ちょっと待てよ! その丸で囲まれた影に隠れている物の詳細が描画されている。わたしは心理学者ではないのでこの現象にラベルを貼るつもりはないが、写ってない物を写真の中に見てしまってそれに夢中になってしまうことが健康的だは思えない。そのような主張をすることは周りの人々にその人のことを心配させてしまう最も効果的な方法であるだけであって、ビッグフットの存在を説得する効果はまるでない。もし悪い証拠しかないなら提示しない方がましである。

3.間違った科学をすること:前もって予想した結論を支持するものを見つけようとすること。

科学とは、何を証明したいかというゴールを先に決めてそれを支持する証拠を見つけて組み合わるものではない。それは布教活動であって科学ではない。テスト可能な仮説から始めて、そしてデータによって明らかにされた証拠に基づいて理論を形作る。もちろん、この方法に従ってビッグフットを支持する理論を導くのはかなり難しい。しかし、もしビッグフット支持者たちが彼らの論点を証明することを望んでいるなら、それが必要なことなのである。

わたしがこんなことを言っているのを聞いて、あなたはわたしがビッグフット支持者だと結論づけるかもしれない。わたしはビッグフット希望者であることを認めるが(それがあり得そうだからというよりは、感情に基づく希望)、確実に信者ではない。わたしの要点は、賛否両サイドによる論争には要点に伴って多くのゴミが含まれているということだ。懐疑的なそれぞれの問題の両サイドがそれぞれが正しいと信じているが、問題が何に関わらず、その正しい方(あなたが支持するサイドの方という意味)のサイドは頑張って自分の言動を少しきれいにすることができるだろう。

Brian Dunning
ブライアン・ダニング

参考
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