信仰を殺している:解体論者のキリスト教徒

スケプトイド #12
2006 年 12 月 7 日

今日は信仰を柔らかいクッションに飛躍させて証明された知識が信仰を役に立たない物にしたらどうなるか見てみよう。

宗教の世界には重大な矛盾がある。創造論やノアの洪水や黙示録などの教義の支持者が気がかりな行動を取っている。彼らは彼らの宗教の主張を証明するために科学的な研究をしようとして彼ら自身の宗教を機能不能にしている。つまり、彼らの宗教の中心柱である“信仰”を直接非難しているのである。

エイブラハムはイスラム教とキリスト教とユダヤ教を含む世界中のほとんどの人々から信仰の父として尊重されている。彼は自分の息子アイザックをいけにえにするという最も偉大な行為をしてこのタイトルを得た。短剣が彼の頭に落ちる寸前に、神によっておくられた天使がエイブラハムに対して彼が信仰を証明したと告げて短剣を止めてアイザックは救われた。それはわれわれの中でもごく少数の人にしかまねのできない行為だった。間違いなくわたしにはできない行為だ。これが理由で、エイブラハムは名誉を高めた。それは英雄的な信仰による誠実な行為だった。

この疑問を考えて欲しい:神が寸前に間に入ってアイザックを救うということをもしエイブラハムが知っていたら、彼の行為はそれほど英雄的だったと言えるのか?

神学的な慣例によれば答えはノーで、その行為は英雄的ではなかったことになる。エイブラハムの話が重要な理由はそれが信仰の究極の実証だからだ。エイブラハムは神に対する彼の信仰のために彼が愛するアイザックを殺すつもりで短剣を上げた。彼は想像を絶する苦痛を感じたのだ。自分の子供を刺すつもりで短剣を振り上げることがあなたにはできるか? このレベルの信仰に達成することは、すべてのキリスト教徒、さらにはイスラム教徒やユダヤ教徒の本来のゴールなのである。信仰は宗教の絶対的な柱なのである。

さて、ここで時計を何千年か先に進めて、今日の信者たちを見てみよう。驚いたことに、多くの信者は短剣を振り上げる前に疑問を持つことに相当することをしている。“天使が間に入ってくれることを証明してください?”のような疑問を。インテリジェント・デザインを証明する科学的な証拠を示すことができるか? モーゼスの紅海の奇跡を証明してください?

聖書研究教会(abr.christiananswers.net)は“聖書と鍬”と呼ばれる PDF ドキュメントを四半期ごとに発行している。それは聖書の記録を支持すると彼らが主張する中東での考古学的なプロジェクトに関するドキュメントである。最新刊では紅海を渡ったという出エジプト記の場所についてのエジプトからの証拠を示している。余すところのない企業目標のページでは、聖書は絶対的に文字通り正しい実際の歴史的文書だという彼らの信念を繰り返し述べている。それは“絶対に確実な、誤りのない、権威のある”ことなのだ。彼らの目的には次のことも含まれている、“考古学と科学による発見に関する知識と正しい解釈を通して聖書への強い信仰の深い知識とより大きな感謝を助長することによってキリスト教教会を啓発すること”。つまり、考古学を通して聖書が正しいことを証明することだけが目的なのだ。彼らはこれを“聖書への強い信仰を助長する”と呼んでいる。証拠を通して信仰を助長する。彼らはそれをわれわれに信じさせようとしている。

わたしの辞書が古いからかも知れないが、信仰と証拠は水と油のようなものだ。信仰には証拠は必要ないのだ。証拠が存在するということによって、信仰は無意味になるのだ。信仰とは証拠なしに信じることを意味する。それとは反対の証拠があっても信じるという意味なのだ。目の前で証明されたことを信じることのどこに英雄的な信仰があるというのか? エイブラハムの行為にはまったく及ばない。支持する証拠を示すことによって信仰の要素を軽んじること求めることは、宗教の基本全体を根本から傷つけることを求めていることになるのだ。

トルコのアララト山上にノアの箱船を見つけようとするいくつものグループに同じことが起こっていることを見ることができる。木の箱船がどうやって六千年も間存在し続けられるか、地球上にそれに充分な水が存在しないのにどうやって船がそんな高い山の上に行くことができたのか、衛星写真を使って正確にどこに船があるのか、すべての動物2匹ずつがどうやって一つの箱船に入れることができたのか、箱船の大きさとそれがどこでどうやって作られたのかなどの多くの情報を彼らのウェブサイト上に見つけることができる。しかし、なぜそれを見つけることが重要なのかの説明はどこにも見当たらない。わたしが思うには、ノアの洪水は文字通りに起こったことので有意義な寓話などではないと考えているとして、それを見つけることによってその話を証明しようとすることは、神のためというよりはむしろ悪魔のためということになる。どうして神が信仰を軽んじて欲しいなどと思うのか? 悪魔がそうしたいと思う理由はいくらでも考えられるが、神がそうしたいとは思えない。

聖書を証明しようとすることは本当に神のためになるのか?

エイブラハムの信仰は、神が本物であることを支持する科学的証拠を必要としなかったし、もしそんな証拠があったとしたら神に対してそれほどの感銘を与えなかっただろう。わたしは本当の信者であるキリスト教徒に対して、彼らの信仰を続けて、その信仰は“絶対に確実な、誤りのない、権威のある”ものであることを強く要求する。もし科学が示していることを使おうとするなら、聖書の絶対的な確実さへの信仰を持っていないことをあなたは認めるべきだ。両方同時にはできないのだ。本当のキリスト教徒は、聖書に対して科学を使うことによって信仰を侵害しようとする信者に異議を唱えるべきだ。信仰だけで宗教を支持できないなら、信仰はすでに殺されたことになる。

Brian Dunning
ブライアン・ダニング

参考
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