本物のフィラデルフィア・エクスペリメントスケプトイド #16 |
今日は壁に付けてある強力な発電機を作動させるでかいスイッチを入れて、神秘のフォース・フィールドを作ってわれわれを消滅させてみよう。長いことばかばかしく議論されている“フィラデルフィア・エクスペリメント”について。
話によると、1943 年 10 月、フィラデルフィア海軍造船所において USS エルドリッジと呼ばれる米海軍キャノン級護衛駆逐艦 DE-173 上で実験が行われた。実験には船を肉眼とレーダーから目なくするフォース・フィールドの生成が含まれていた。岸と他の船から何百何千という海兵によって実験は目撃された。不幸なことに、船上の乗組員たちにに激しい副作用が起きた。何人かは金属の船体の中に融合されて発見され、他の何人かは行方不明になり、さらに他の何人かは気が狂うか存在したり消えたりを繰り返す不思議な病症によって何年間も病気になった。海軍の典型的なやり方ですべては否定された。
上記のことは実際には何一つ起こらなかった。以下のことが実際に起こった:
神秘的な実験とその悲惨な結果は UFO についての本の著者モリス・ジェサップが米海軍研究局(ONR)に不意に呼び出されるまでの12年間秘密にされていた。手書きの注釈が入ったジェサップの UFO 本が郵便で ONR に届けられた。その注釈はすべて同じ筆跡だが3種の字体と3色のインクで書かれていた。それらの注釈がフィラデルフィア・エクスペリメントの詳細を示していたので、誰がその注釈を書いたのかと誰がその本を送ったのかをジェサップが知っているかどうかを ONR は知りたかったのだ。
ジェサップはその狂った筆跡をすぐに認識できた。彼は商船 SS アンドリュー・フルセス船上から実験を目撃したという自称カルロス・アイェンデからいくつもの手紙を受けていた。アイェンデがアルバート・アインシュタインが個人的に不可視性や超光速旅行などについて数週間指導してくれたという主張を含めて彼は気が狂ってるとしてジェサップはアイェンデを相手にしなかった。注釈が入った本のコピーがいくつか作られ、後は知っての通り:フィラデルフィア・エクスペリメントの話が大衆文化の一部になった。
超常現象研究家でわたしの友達であるロバート・ゴーマンはアイェンデが ONR に送った郵便が彼が生まれ育ったペンシルバニア州ニュー・ケンシントンから送られていることに気がついた。彼はいくらかの時間をさいてフィラデルフィア・エクスペリメントの話の歴史をまとめた。そして、1979 年にカルロス・アイェンデの本名であるカール・アレンは驚いたことに家族で親しくしている友達の息子だったことを発見した。彼は徐々に情報を集めて完全な真相を雑誌の記事と“神秘の歴史”、“未解決の神秘”、“不可解“などのテレビ番組で公開した。この三つのテレビ番組はカール・アレンの話を鵜呑みにして作られた。カール・アレンは家族の中で意外な存在で、創造的で空想的な一匹狼で、家の中の物すべてに注釈を付けることで悪名高く、機会があるたびに家族に怪奇な手紙や主張を送りつけていた。ゴーマンは USS エルドリッジのすべての事実もまとめた。実験が行われた時にはエルドリッジはフィラデルフィアに寄港していなかったし、詳細が確認された記録によると実験が行われたと言われる日は通常の任務を行っていたし、どんな実験についても知る人は誰一人として乗組員にいなかった。エルドリッジは実験が行われる二ヶ月前に出航していて、もしアルバート・アインシュタインが主催する驚くべき歴史的な実験だったとしたら、誰かが知っていてもおかしくはないはずである。カール・アレンが示すフィラデルフィア・エクスペリメントの証拠は例外なしにすべて偽物だと簡単に証明できる。
そしてそこに問題がある。政府の陰謀に関して議論することの難点は、陰謀の信者はどんな証拠も陰謀の一部になるとして一般的に実際の証拠を受け入れないことである。これは創造論者との論争と似ている。信者は単に“神がそうした”と言って証拠や事実ではなくて信仰の問題にしてしまう。まとめると、どんなに証拠を集めても陰謀論者によって受け入れられることはない。陰謀論者の頭の中では、不利な証拠は正に陰謀の証拠になるからだ。
この統合失調症の証拠として、米海軍のフィラデルフィア・エクスペリメントの話に対する返答も http://www.history.navy.mil/faqs/faq21-1.htm から入手できる。あなたの予想通り、その返答はカール・アレンが何のことを言っているのか見当がつかないというものだ。それらの船はその時どこで何をしていたかと、海軍士官たちからの証言が単に述べられている。それはおもしろいレポートだが最初からわかりきったものである。
興味深いことに、フィラデルフィア・エクスペリメントについていくつかの疑問点もある。エルドリッジとエルドリッジのとなりに 1943 年に係留された USS イングストロムの2〜3人の退役軍人は自分がアイェンデが目撃した棒の中に消えた乗組員または次元間を転送された乗組員と名乗り出た。フィラデルフィア・エクスペリメントが大衆文化で有名になった後でそれらのことが主張されたということと、それらの人々が実際には退役軍人ではないことが明らかになったことに注意してほしい。もっと興味深い疑問はフィラデルフィア・エクスペリメントの話そのもの、海軍研究所が奇妙な注釈本について最初にモリス・ジェサップを呼び出した時のことである。もし海軍がそれらの注釈に興味がなかったら、なぜ海軍は彼を呼び出したのか?
今となっては誰にも分からないだろう。ONR 士官たちは彼らの個人的な時間を使って個人的な興味からか、またはその注釈が実際の海軍での研究に似たところがあって ONR はそれらのすべての手がかりを追う責任があったから、彼を呼び出したのではないかとゴーマンは考える。陰謀論者はこのことがアレンの注釈が真実だったことの証明だと主張する。真実が何だろうと、この話には説明できないいらいらさせる脚注があることをわたしは気に入っている。わたしは良くできたミステリーが好きだし、ゴーマンがこの話の正体を暴露したときにわたしはがっかりしたことを覚えている。ほとんどの人々と同様に、わたしはこの話について徹底的な調査を自分でしてないし、普通の人がフィラデルフィア・エクスペリメントの映画でみた程度の知識しかなかった。理性的には、この話はばかげている。しかし、まだ完全に否定されていないところが好きである。カール・アレンはいたずら者であるかもしれないが、彼が歴史を少し興味深いものにしてくれたことにわたしは感謝する。
参考
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